US進学総合研究所

大学入試におけるオンラインの活用アンケート①


2022年12月16日(金) US進学総研

新型コロナウィルスの大学入試への影響が続く中、2023年度入試におけるオンライン活用状況を把握し、今後のオンライン活用の参考資料とするために、大学ジャーナルオンラインを通して、全大学に調査を実施しました。その結果を2回に分けて報告いたします。

大学入試におけるオンライン活用率
「総合型選抜」「外国人・留学生選抜」「大学院入学者選抜」で20%超える

2023年度入試 大学入試におけるオンライン選抜実施状況

▼2023年度入試におけるオンライン活用状況について、大学ごと入試別にアンケートを行った。その結果、2023年度入試の各選抜において、オンラインを活用している大学は、総合型選抜23.7%、指定校推薦16.1%、公募推薦9.9%、その他推薦10.4%、外国人・留学生選抜27.8%、一般選抜7.1%、編入学選抜9.3%、大学院入学者選抜24.1%だった。


▼オンライン活用が、20%を超えている選抜は、総合型選抜、外国人・留学生、大学院の3つ。一般選抜が最も活用率が少なく7.1%となっている。新型コロナウィルス感染症の拡大次第ではオンラインを活用するという大学は、各選抜で10%前後はあり、オンラインを活用するための準備だけはしていることがわかる。


(参考)2021年度入試におけるオンライン活用状況については、文部科学省「大学入試のあり方に関する検討会議」がアンケートを実施し、その結果は第26回の資料で公表されている。これは大学ごとではなく、学部ごとの集計結果だが、総合型選抜19.1%【国立9.3%(N=227学部)・公立17.8%(N=73学部)・私立20.5%(N=1650学部)】、一般選抜2.9%【国立1.1%(N=379学部)・公立4.8%(N=209学部)・私立3.1%(N=1877学部)】などとなっている。

「総合型選抜」でのオンライン活用、私立約25%。「外国人・留学生選抜」と「大学院入学者選抜」は国立での活用が最も多い

総合型選抜、外国人・留学生選抜・大学院入学者選抜の国公私立別オンライン活用率

▼活用率が高い3つの入試について、校種別に集計すると、活用状況が大きく異なっていることがわかる。総合型選抜は国立18.8%、公立14.3%、私立25.1%と、私立のオンライン活用度が高いものの、国公立も高校生対象の入試としては活用度が高い。外国人・留学生選抜は、国立42.1%・公立7.3%・私立28.9%と、国立が高いが、公立は低い。大学院入学者選抜については、国立65.1%、公立26.5%、私立14.1%と国立のオンライン活用がかなり高くなっている。


▼総合型選抜は、国公私立すべてでオンラインの活用が進んでいるが、指定校推薦は、私立だけが17.0%と高くなっている。高校生対象の入試としては、総合型選抜を中心に、指定校推薦においても、私立においてオンラインの活用が進んでいくものと考えられる。

「遠方の学生確保」「受験生の金銭的・時間的効率化」の2つの観点から、重要だと感じている大学が多い

大学入試でオンラインを活用することについて、重要だと感じていること

▼「大学入試でオンラインを活用することについて、重要だと感じていること」については、「遠方の学生確保の観点から」「受験生の金銭的・時間的効率化の観点から」の2項目の割合が特に高い。


▼「遠方からの学生を確保する観点から」の項目は、私立だけでなく、国公立大学を含め、全項目の中で一番重要だと感じられている。


▼「受験生の金銭的・時間的効率化の観点から」「大学DXの推進の観点から」の2項目については、国立大学が公立私立よりも特に高い数値となっており、意識が高いことが分かる。


▼「入試業務の効率化の観点から」は18.1%と、他の項目と比較すると数値は低く、オンラインを活用することによって効率を高めることを重要と考える大学は少ない。

「インターネット接続環境」「不正行為」「公平性」の3つを不安と感じている大学が多い

大学入試でオンラインを活用することについて、不安だと感じていること

▼「大学入試でオンラインを活用することについて、不安だと感じていること」について、不安が50%を超えて大きい項目は、「インターネット接続環境への不安」(82.6%)、「不正行為への不安」(76.3%)、「公平性への不安」(64.0%)の3つ。この他、ほとんどの項目で、国立、公立、私立の順番で不安が大きいとの回答だった。


▼授業でZoomなどのオンライン会議システムを使い慣れてきた感のある大学だが、主に高校生を対象とする入試となると、まだインターネット接続環境への不安も大きいようだ。


▼公平性の担保のために、大学に来られない受験生だけでなく、大学に来ている受験生を含めた全員を対象に、Web面接を実施している大学も出てきている。高校としても、Web面接に慣れるように指導していくことも必要になりそうだ。

■調査目的
新型コロナウィルスの大学入試への影響が続く中、2023年度入試におけるオンライン活用状況を把握し、今後のオンライン活用の参考資料とする。

■調査期間 2022年9月1日~9月26日
■調査対象 全国の国公私立大学
■調査方式 郵送調査。回答はFAXまたはメール。

■回答数   465大学
       
・国立51大学/公立61大学/私立351大学/校種不明2大学
・北海道23大学/東北38大学/北関東24大学/甲信越20大学/1都3県126大学/東海4県56大学/北陸13大学/関西80大学/中国・四国41大学/九州・沖縄42大学/地域不明2大学
※設問により有効回答数異なる。

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