US進学総合研究所

テレビドラマから法曹コースを考える


2023年1月13日(金) US進学総研

大学院が出てくるテレビドラマは初めて?

 2023年1月9日(月)フジテレビ系で「女神【テミス】の教室〜リーガル青春白書〜」というドラマが始まりました。弁護士や大学が出てくるドラマは多くありますが、大学院が出てくるドラマは初めてかもしれません。
このドラマは、青南大学法科大学院(ロースクール)が舞台で、司法試験合格者が3名実績という設定。第一話では、司法試験大学院別合格者数一覧が映り、令和4年度の最新合格者実績を元にして実在する大学と、実在しない大学を混ぜて、ランキングしていました。

 中学生や高校生がこのようなドラマを見れば、法学部や法科大学院に対してのイメージが出来上がってくるのではないかと考えられますが、内容的には少し難しいのかもしれません。司法試験の難しさや受験資格などの仕組みは、中学高校の段階では、余程調べていない限り、知らない人がほとんどだと思います。

■簡単な制度経過


2004年度から、法科大学院制度が始まる。法科大学院を卒業すると2006年度からの新司法試験の受験資格が得られることに。
2011年度から、合格すれば法科大学院修了者と同等の資格・条件で新司法試験を受験することができる「予備試験(司法試験法第5条)」が新設。
2017年度に、法曹養成に大きな実績をあげている7つ(東京大学大学院法学政治学研究科、一橋大学大学院法学研究科、慶應義塾大学大学院法務研究科、中央大学大学院法務研究科、早稲田大学大学院法務研究科、京都大学大学院法学研究科、神戸大学大学院法学研究科)の先導的法科大学院によるコンソーシアム「LL7」を設立。
2020年度より、最短6年間で法曹資格を得られる「法曹コース」(連携法曹基礎課程)という新しい教育課程が新設。

予備試験合格実績は、学部の偏差値とほぼ合致している

 2011年度の新設された予備試験は、法科大学院に進学しなくても、合格すれば司法試験を受けられることから、大学在学中でも受験している学生もいるようです。令和3年度の大学別合格実績は以下のように、学部の偏差値に沿うような結果になっています。

 

2020年度に新設された法曹コース。高校生への認知はまだ低い

 法曹コースは、2020年度に新設されていますが、大学のパンフレットなどには掲載されているもの、入学段階で決めるものではないため、進学サイトなどで詳しく書いている大学は少なく、高校生への認知はまだ低いと考えられます。法学部を設置する大学の中でも、法曹コースを設置しているのは一部に限られています。法科大学院側から見て、一番たくさんの大学と連携しているのは、中央大学法科大学院。10大学と連携協定を結んでいます。法曹コース側から見て、一番たくさんの法科大学院と連携しているのは、明治学院大学。6法科大学院と連携協定を結んでいます。

■法曹養成連携協定一覧(連携法科大学院から見た連携法曹基礎課程)

■法曹養成連携協定一覧(連携法曹基礎課程から見た連携法科大学院)

 

今後出てくる法曹コース卒業者の合格率も大学ブランドに影響する

 今後は、法曹コース経由での法科大学院司法試験合格率が出てきますので、この合格率により、入学する法学部をどの大学にするのか決めるということになってくるのでしょう。法学部の学生の一部しか司法試験にチャレンジする人はいないのが実情だと思いますが、合格率は確実に大学ブランドに影響することは確かです。
テレビドラマが始まったこともあり、合格率を徹底的に高める教育なのか、人々の心を知る法律家になるための教育なのか、法科大学院としての教育の役割は何なのか、さらに注目されることになるのかもしれません。

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